東京3日目。
世話の焼けるクズ医者を朝7時に叩き起こし、身なりを整えてクズにだけは見えないように仕上げ、タクシーに放り込むまでが今日の私に課せられた使命だった。
一応スーツを着せるとそれなりに仕上がっている。
でも酒臭い。大丈夫かコイツ。
トマトジュースを無理やり飲ませ、ブレスケアと息スッキリ系のガムを食わせた。余計気持ち悪くなったそうだ。
どうでもいい。私の体じゃない。
二度寝したいがそんなこと言ってられない。チェックアウトがあるのだ。クズたちの荷物を片付けてチェックアウトしなければ。
シャワーを浴び私たちの部屋は15分ほどで整理できた。
課長に電話を入れる。
私「今から部屋に行くから起きて部屋を開けなさい」
課「はい」
部屋に入ると案の定酒臭い。
Aを叩き起こし。順番にシャワーを浴びさせる。コイツらのシャワーが終わらないと荷物の整理も終わらない。
ようやくチェックアウトの準備が整った。主治医とは品川で16時に待ち合わせだ。
スーツケースは品川駅付近のロッカーに預けた。16時まで時間潰さなきゃいけないしね。ゴミしか入ってないからそのまま東京に捨てて帰ろうかと思ったくらいだ。
さて観光にも興味のない私たちは悩んだ挙句パチンコに行くことになった。クズすぎてもはや言葉も出ない。まあ私の提案なのだが。
本当はBOSSの動画撮影に使われる昔のパチンコ台などが設置してあるゲームセンターRISEにBOSSのタクシーで行きたかったのだが、Aと課長はそこまで古いパチンコ台に思い入れもないので難色を示された。「BOSS?誰?」バカ野郎。分かってないな。
さて店なんてどこでもいい。テキトーに入店して私たちは甘デジコーナーを見て回る。
課長が興味を示したのは北斗無双の甘だ。北斗世代だからな。Aは普段ほとんど打たないので分かりやすくてドコにでもある海を見ている。私は大好きな貞子3Dを発見してしまい、本当になめらかに着席した。回らなくてもいい。私は貞子を愛しているのだ。
4円で甘のノリ打ちで話はまとまり各自打ち始めた。
Aはソッコー大当たりさせ時短引き戻し込みで4〜5連チャンさせていた。投資は1000円もかかってないはずだ。
課長は80回転ほどで大当たりさせたがST突入せず。北斗無双はこれがキツイのだ。面白いとは思うけどね。
北斗は初当たり後の30回の時短中に95分の1の大当たりを引ければST突入となり、十分な爆発力は秘めているのだが、単発のループにハマるともう地獄でしかない。30回転の壁はなかなか厚い。今日の鍵はコイツか。
そうこうしてるうちに私にもチャンスがやってきた。投資は6000円。うわー。100回転に届いてない。明らかに回らない台だ。でも貞子が好きなんだもの。しょうがない。貞子を見つけてしまった私には選択肢などないのだ。
柏田(アニメ調)保留(赤保留扱い)に昇格し擬似3まで発展。キレパンダ、群予告がないのは気になるが、役物が絡む派手な演出を経由してストーリー系に発展。土管がやってきて出てきた文字は「呪」。やばい。ハズレそう。一気に萎える。
最後の一撃ボタン。やっぱりハズれた。
貞子では珍しいことではない。大した予告もなくしょーもないリーチであっさり当たることもあるし、アツイ予告が絡みまくった挙句の裏切り行為なんてザラにある。
私はその後すぐ、ただの赤字のチャンスアップしかない普段ならハズレ待ちのしょーもないリーチで当たった。STもらった。
私は貞子のSTが上手い。自称貞子STズラしのプロだ。
今日も順調に連チャンを重ねる。16R2回含む12連チャンで持ち玉は7000発を優に超えている。すでに20000円ほどの浮きだ。
楽しすぎる。
時刻は午後2時。私の持ち玉は12000発まで増え、Aも7000発ほど持っている。課長は投資こそかさんだが持ち玉は5000発ほど。
10万弱を換金して投資分26000円を引いた残りを3当分した。1人あたり25000円弱の勝ちだ。
貞子愛してる。
ちょっと待ち合わせには早いので駅近くのショップを見て回る。
私にはどこが美味いのかがよく分からなかったがパートナーは好きだった。小さいノーマルのやつを1つ購入する。
さて主治医とも無事落ち合い私たちは帰途についた。新幹線はサラリーマンたちで結構混雑している。主治医以外はいつものゴミスタイルだ。恥ずかしい。
私はこの先車の運転が待ってるのでまだ飲めない。他のクズたちは乗車前に買い込んだ酒やらを早速飲み始めている。いいな。あームカつく。
無事我が家に到着し、
私「お前ら荷物持って上がっとけ。私は車止めたら犬を迎えに行ってくる。スーツケースで床キズつけんなよ。冷蔵庫以外何も触るな」
そう言い捨てて私はマスター(日焼けで焦げまくった挙句AV男優みたいな風貌になっている馴染みのカフェのマスター)の店に歩いて犬を迎えに行った。
私「ありがと。助かった。今日店終わったらウチきてよ。土産あるから。」
マ「おう。」
私は犬を連れて我が家へ戻る。
駐車場にはクズ3人がいた。
主「俺らマスターの店で一杯飲んでからタクシーで帰るわ。このまま歩いて行くから。じゃあな。お疲れ。」
課「ほな明日」
A「お疲れー」
なんなのお前ら?
そこは「いろいろお疲れ様でした」とかいう体で普通誘うとこだろ。
とりあえず玄関に入る。スーツケースは靴脱ぎスペースにデンと置かれている。邪魔だ。主治医は履いていた靴を脱ぎ散らかして私のクロックスを履いて行ったようだ。バカじゃねえの。
本当にヤツらは使えない。そろそろ嫁もブチ切れていいんじゃないか?ゴミのように捨てられてしまうがいい。
私はブツブツと文句を言いながら犬を室内に放し、スーツケースの中に入っているゴミ、いやヤツらの汚れモノを洗濯機に放り込んだ。犬たちはまだ寝そうにない。そのまま風呂入ろう。
風呂上がり。やっと飲める瞬間がやってきた。
ビールを一気に1本空にする。うめえ。さあ2本目。
あ、そうだ。東京ばな奈。
私はバッグから小さい東京ばな奈を取り出しパートナーの写真やお骨(手元供養用の小さいやつ)が置いてある場所に向かった。
そこにはヤツらがそれぞれ買ってきたと思われる東京ばな奈が3つ置いてあった。
私は思った。
誰がこんだけ食うねん!
私はそんなクズたちにまた今日も骨抜きにされてしまった。