愛知県民がこよなく愛して止まない(かどうかは知らないが)しるこサンドという菓子がある。
愛知県小牧市にある【松永製菓】という菓子製造メーカーが作るその菓子は、愛知県内ならだいたいどこの店にも売られているという、愛知県民にとってはいたってポピュラーな菓子なんだそうだ。
私の友人でもあり主治医でもある医師のクズ野郎が、愛知県に出張に行った際に、その衝撃的なパッケージに一目惚れして買ってきたのである。
そりゃ私もその場にいたら、そのレトロでチープなパッケージに一目惚れして購入しているだろう。
見た目はバツグンである。歴史を感じさせるその色使いや風合いがたまらない。
原材料もなかなか味の想像がつかないものを混ぜ込んでいる。アズキにりんごジャムとか。うさん臭さ満載である。
私は勝手に味の想像をした。
きっと、東鳩オールレーズンのようなしっとりした生地にアンコとりんごジャムがサンドされていて、パッケージとともに、その味わいに衝撃を受けるに違いない。
スナックのマッチみたいな大きさだ。それもいい。チンケな個包装をムキムキして口に放り込む。
ガリッ。
かってえーーーー。
硬い。硬すぎる。なんだこりゃ。
見た目とネーミングとは裏腹に、その乱暴な硬さのパッサパサな生地にサンドされた、これまたパッサパサなアズキ風味の何かが口の中で事故を起こしている。
これが愛知県民の慣れ親しんだ味なのか?
いや、マズくはない。しかし、私が当初想像していた東鳩オールレーズンテイストのほうが全国制覇できたのではないだろうか。
私は主治医に電話をかけた。
お前、なんの嫌がらせだ。
笑えた?笑えたやろ?
うん、笑えた。
また食いたくならん?
うん、また食いたくなる。
松永製菓と愛知県民の罠にまんまとハマってしまった関西人たちだった。