私はあらゆる被害者を救済すべく、むやみやたらに「被害者の会」を設立しようと企んでいる。
- CR大工の源さん被害者の会。
- CRバトルヒーロー被害者の会。
- CRモンスターハウス被害者の会。
- キューティーバニー被害者の会。
- 吉宗被害者の会。
- 押忍番長シリーズ被害者の会。
- シンドバッドアドベンチャー被害者の会。
そしてもちろん、
ミリオンゴッド被害者の会。
クズが吠えても「100%敗訴」のデキレ感がある案件ばかりだ。数え上げればキリがない。無駄な努力に終わることは、うっすらと分かっている。
クズ時代は勝ちに徹して打っていたハズなのに、これほどの被害者意識を持つということは、つまり、
ヘタクソ。
だったんじゃねえか?
まあ、前述のは被害者の会を設立しても、どうせ集まるのは、中武一日二膳か水瀬美香くらいだろう。そんな私が企んでいる被害者の会の中でも、結構争えそうな案件がある。
ポケモンGO被害者の会。
ポケモンGOが全盛期の頃、私は足の一部を切断し、車椅子と松葉杖の生活だった。パートナーの闘病時期とも重なり、私たち(犬含む)は生き延びるために必死だった頃だ。
自宅での生活は松葉杖か床を這って移動し、外出時は松葉杖で車に乗り込み、病院では車椅子に乗り換え、車椅子を設置していないスーパーなどでは、カートを片方だけの松葉杖で押しながら買い物をしていた。メシもテキトーに済ませ、毎日同じ服を着てたな。足の切断部は清潔に保たなければならなかったので、めんどくさかったが、シャワーだけは1日2〜3回浴びていた。
大きな買い物なんかは、姉などに頼んだりネットショッピングで済ませていたが、銀行など頼むのを憚られるモノは自力でおこなっていた。そういった用事はなるべく1回で済ませられるように、あらゆる銀行のATMが揃っている駅近くのショッピングモールでおこなっていたのだが、そういった人が集まる場所には、必ずと言っていいほど、ポケモンハンターがウロウロしていた。当時私は、りそな・UFJ・ゆうちょをハシゴしなければならず、UFJ・ゆうちょは隣接していたのだが、りそなだけは駅構内にあり、結構な距離の連絡通路を通って行かなければならなかった。
その連絡通路は幅2メートルもないくらいの歩道橋だ。私は松葉杖でクッソ暑い中、汗をダラダラかきながら歩く。
ポケモンハンターはどいてくれない。
女2人が歩道橋の真ん中でスマホ見ながらキャッキャしている。私が近寄っても動こうとしない。まるで、お前が回り込めと言わんばかりに頑として動かない。普段の私ならケンシロウのように、
邪魔だ。
と言うのだが、当時はもう、なんだかどうでもいいやーみたいな気になっていたと思う。とにかく身体が辛くて、早く用事を済ませて帰りたかったのだ。ブス相手に無駄な労力は避けたかった。
ポケモンハンターは後ろから舌打ちをする。
松葉杖を自分の手足のように使える人は少ないと思う。私もそんな凡人だ。ゆえに歩くスピードも遅いし、手が疲れたら立ち止まる。そんな私にポケモンハンターは無情にも舌打ちという行為で私に暴力を振るう。
バカ野郎!私だってスタスタ歩けるもんなら歩きたいわ!お前らこそ、急に立ち止まったり縦横無尽に歩きまわるじゃねえか!たかたが液晶内のモンスターごときでよ!
テレビでは、ポケモンハンターのマナーには警鐘を鳴らしていたが、ポケモンハンターには「私1人くらい…」という輩が多いのか、彼らの行為はどんとんエスカレートしていった。
そんな中事故が起こった。
私がその連絡通路を松葉杖で歩いてるとき、前からスマホの画面を見ながら歩いてくるスーツにリュックというまさにゆとりリーマンが早足で私に突撃してきた。私は少し前に彼に気づき、立ち止まっていたのだが、彼はそれでも私に突っ込んできた。
当たり前だが私は倒れた。松葉杖は連絡橋の隙間から下に落下し私は連絡橋の手すりで肩を強く打ち、おまけに負傷している足をとっさに着いてしまったため、一瞬気を失ってしまった。ゆとりリーマンは救護義務を果たさず、そのまま早足で立ち去ったようだ。連絡橋の下はバス乗り場になっており、松葉杖が落ちた物音で事故に気づいたオバちゃんが駆けつけてくれた。バスの運転手だか車掌だかは、走り去っていくゆとりリーマンを捕まえにクッソ暑い中、老体にムチ打って走ってくれた。
救急車出動の騒ぎである。
私ははっきり喋れたため、友人でもあるバカ主治医のいる病院に搬送してくれるように頼んだ。ケガ自体は打撲と創傷、切断部分からの出血という軽いものだったが、その後が長かった。治療もそうだが、調書やら加害者のなんちゃらとか。
ゆとりリーマンは逮捕。某大手ケータイキャリア支社勤務のエリートくんだった。
会社にバレたくなかった。
ポケモンGOに夢中で気づかなかった。
それが逃げた動機だ。
もちろん彼は社会的制裁を受けることになる。私は、イロイロと悠長なことをしてるヒマはなかったので、向こうの条件で示談を受け入れるつもりだったのだが、この件では私の友人でもあるバカ主治医と、同じく友人で優秀な弁護士がそれを許さなかった。
お前は書類にサインするだけでいい。後は任せろ。
結果、自動車事故でもないのだが、救護義務を放棄してその場から立ち去ったなどを理由に彼は社会的制裁を受けた。
その後、彼の両親や会社の偉いさんなどのめんどくさい見舞いが続いた。
だが、後で分かったのだが、彼の起こした事故の尻拭いはほとんど彼の両親がおこなっていたようである。
なあ、ポケモンをハントしてる場合じゃねえだろ。
お前がモンスターじゃねえか。
モンスターポケモンハンターがハントされちゃったお話でした。
私は「ポケモンGO被害者の会」を設立する資格はあると思う。