医療系クズの雑記ブログ

いろいろあってブログ名変えました。クズ上がりです。

知的障がいを持つ人やダウン症の人たちのことを何も知らずにのうのうと生きてしまうとこだった。

職場からの帰り道、家まであと5分もかからないようなところで雨が降ってきた。ものの数十秒で車の中で流している音楽が聞こえなくなる程の激しい雨になった。

前のエントリーでも書いたけれど、我が家のメイン居住スペースは中二階と二階である。しかし実は一階もあったりする。一階、二階、中二階という構造になっていて中二階の下は駐車場になっているのだ。玄関は中二階にあるのだが、一階にも勝手口的な出入口があり、犬の散歩や雨の日などの出入りはそこで行なっている。濡れるのやだしね。
もう少し詳しく書くと我が家は中二階にリビングとダイニングなどがあり、一階から二階までの階段が上から見るとルービックキューブのような9マスで構成されていて、4段上がって踊り場。左折して4段上がって踊り場。また左折みたいな感じで中二階をはさみ二階まで続いている。
まあちょっとめんどくさいのだが、私も犬たちも年をとって階段でコケても途中で止まるような構造にしたらこうなったのだ。しかし真ん中は吹き抜けだし採光用の天窓があるから明るい。階段まわりも鉄パイプとアクリルだけなので開放感はある。吹き抜け部分には鉄パイプを倒して洗濯物の室内干しができるようにもなっている。初めて我が家へ来た人たちはシンプルだけど無駄に豪華な階段にちょっとびっくりしてくれるのだ。

今日はそんな我が家に初めて来た人の話である。

あと少しで家に着くというところで駐車場に誰かいるのを発見する。またか…

我が家は中二階の下が駐車場なので急な雨の避難所として小学生や中学生などによく利用されるのだ。私は子供が大嫌いなので、いつもなら全然ひき殺してやる勢いで構わず駐車するのだが、今日は少し様子が違った。なんか団体様が我が家の駐車場で雨宿りをしていた。私は彼らに見覚えがあった。

我が家の近所には養護施設というか、知的障がい者や、ダウン症の人たちが集団で支援を受けながら暮らしている施設がある。通いの人もいるみたいだし、就労活動も行なっているようなのだが詳しいことは分からない。年齢も様々だと思われる。犬の散歩などでたまに見かけていた人たちだ。私が家の前でどうしようかと思っていると引率の先生みたいな人が頭を下げて集団を引き連れ大雨の中出て行こうとした。その施設までは歩いて10分ほどだと思うのだが。私は車を停めれたらそれでいいので出て行こうとする彼らを手で制止し、ちょっとだけ端に固まっていてくれとジェスチャーで伝えた。

無事車を駐車し外に出ると引率の人が、「すみません。少し雨宿りさせてもらっていいですか?」と聞いてきた。私は子供は大嫌いなのだがこの場合は特にひき殺す理由もない。「どうぞどうぞ」とダチョウ倶楽部のように言ったのだがまったくウケなかった
よく見るとみなさんずぶ濡れだ。しかも外気は熱気と湿気でムンムンしており最悪のコンディションである。雨はさらに勢いを増していて10分で止むかどうか微妙なところである。
「犬がいるので大きな声さえ注意していただければタオルをお貸ししますのでどうぞ上がってください」
「いや、でも、それは…」

うわっめんどくさっ!こういった公共の福祉施設などは決められたこと以外の行動はNGらしいのだ。◯◯園に電話をかけて園長にいちいち許可を取らないとダメなようだ。そりゃそうだろうが…
私はなぜか意地になり「あのね、一般人はこんなこと当たり前なんだわ。今許可を取るのが1番先にすべきこと?なんかあってからじゃ遅くないですか?家の中から電話したらいいじゃないですか。帰る途中で雨宿りさせてもらってるって。私もあなたたちも悪いことしてるわけじゃないでしょう?」

そうして私はやっと我が家へ客人たちを招き入れられたのだ。とりあえずありったけのタオル類を用意する。引率者含む男性7名女性3名。◯◯園に電話をかけると送迎で車が出はらっていて迎えに行くのは1時間以上後とのことらしい。それまでに雨は止むだろうが…
とりあえず男性女性ともに引率者がいたので男女に分かれてもらい濡れた服を脱がせ体を拭いてもらった。女性陣には昔いちびって買ったバスローブを着てもらい、男性はバスタオルやタオルでその場をしのいでもらった。幸いなことに我が家は犬の毛対策のため布製品は置いてない。カーペットはもちろん椅子やソファなども布を使ってないもので揃えているのだ。そのため椅子やソファ、床が濡れても全然問題ない。
みなさんリビングに集まりお通夜みたいにしーんとしている。家に上がる前に犬がいるから静かにしていなさいと言ったらしいのだが…犬たちはキョロキョロしてはいるが興奮している様子もないのでそこまで静かでなくてもいい。

とりあえず濡れた服は脱水した後乾燥モードの最強と浴室乾燥の最強で乾かしている最中だ。たぶん1時間ほどで着れなくはなさそうなくらいまで仕上がるはずだ。

飲み物を勧めると引率者の人は申し訳なさそうに「すみません。好意はありがたいのですが…」
ああアレね。なるほど。ウォーターサーバーも好ましくないようで、引率者が蓋を開けたペットボトル飲料なら大丈夫なのだそうだ。

あるある。ありますよ。お茶お水ジュースビール。ホットもすぐご用意できますがウォーターサーバーはNGでございましたね。
とりあえず新しい水とお茶のペットボトルとグラスを人数分用意していると引率者の人がまたまた申し訳なさそうに「すみません。プラスチックのコップか紙コップはありませんか?てんかんや発作などが起こったときガラスは危ないので園でもプラスチックのコップを使用しているので」
そうか。配慮が足りなかった。そりゃ当たり前だ。ハンデを持って生まれてきた彼らはまわりの適切な配慮やお手伝いがあってこそ安心して生活できるのだ。言われなければそんなこと思いもしなかった。

紙コップを用意して引率の方に任せる。そして「犬たちも落ち着いていますし、いつもどおりに過ごしていただいて大丈夫ですよ。犬たちは噛みはしませんが、もしものことがあるといけないので引率の方とゲージ越しに見るだけでしたらどうぞ。」と言うとみなさん飲み物より犬たちに興味津々で、それぞれ何かを犬たちに話しかけていた。

外を見ると雨は止み明るさが戻ってきている。服もあと30分もあればたぶん着れるくらいまでには乾いてるだろう。

この引率者の方はたぶん知的障がい者ダウン症の人たちの安全と、その責任を一手に引き受けているのだろう。外出中になんの事故もなく安全確実に園におくり届けなければならないのだ。飲み物、食べ物、危険物、体調。それらの管理を始め、その責任が私に飛び火しないように配慮もしてくれている。一般人が当たり前のこととして善意で行う行為ひとつとっても彼らには大層な労力を要するのだな。

彼たちは我が家の階段を見つけ何やらボソボソ言っている。初めて我が家を訪れた人が普通にする反応のようだ。こうして彼らを見るとなにも変わらない。

服も大丈夫かな?というくらいまでには乾きいよいよ別れのとき。引率の方にヤバいくらい頭をさげられた。
知的障がい者の男性がどうやら帰るのをグズっているようだ。引率の方が説得しているのだが男性は帰りたくないようで何かを訴えている。私は残念ながら彼と意思疎通をする術がわからなかったのでだまってそれを見ていた。

しかしどうやら犬たちがいる中二階を指さして何かを言ってるみたいだ。私は少し待っててもらい触らないでねという約束で犬を抱いて彼に近寄り犬の手を取ってバイバイした。彼も同じようにバイバイをして大人しく帰って行った。

そとはもう炎天下と言っていいくらいの日差しと熱気だ。私は引率の人に「いつでも遠慮なく雨宿りしてください」と声をかけ家へ戻った。



さて、干すところがないくらい大量の洗濯物が私を待ってくれていた。