世の中には字が異常に汚く、それを自覚しているのにもかかわらず、なぜか開き直っているどうしようもないバカでクズがいる。
それは私だ。文句あるか。
いやまあ正確にはちゃんとした丁寧な字は書ける。習い事で習字(利き手の完全な矯正はできなかった。筆のみ右、他は左)くらいはやっていたし、「日ペンの美子ちゃん」でペン字を特訓したわけではないが、ボールペンもそれなりの字は書ける。
冠婚葬祭時のアナログな場では筆(筆ペン)なんかでちゃんと書くし、自分の名前すらマトモに書けないヤツらから依頼されたりもする。
ただ私は字なんて読めればいいと思うタイプの人間なので、さほど重要でない書類書きやメモ書きなんかはめんどくさくて、ついテキトーにペンを走らせてしまうのだ。字なんてどうでもいい。そんなものに労を費やしてなんの得があるのだ。のらりくらりとペンを運んで何が楽しいのだ。イライラするわ。
まあなんらかの美徳はあるのだろうけれども、そもそもそんなものに興味はない。
説明的すぎるセリフの美子ちゃん。オチも最高。
字が美しい人は心も美しい。
やかましいわ。ボケ。
そんなイヤな風潮が色濃く残る日本社会ではありますが、開き直ると悪くはないです。
さて本題です。
我が家は田舎に建つ一軒家である。
もう100年ほどこの地に住居を構えているらしい。上物はその100年ほどの間に4回建て替えていて現在は私と犬2匹が住んでいる。
数年前に祖母が亡くなり私が住み始めることになってほぼ全改築をおこなった。
当時の我が家は周りには田んぼしかなく、非常にのどかだったのだが、我が家の改築が済んだあたりから、周りの田んぼは次々に某大手建売住宅不動産屋に売却されていき、どんどん家が建っていった。
道路も整備され、公園もでき、いわゆる区画整理が本格化してきた。
余談だが、我が家の外壁はちょっとした特別色で「藍白(あいじろ)と「藍鉄(あいてつ)」いう和色でペイントされている。
最初に我が家がデンとあったので、某大手建売住宅不動産屋はわざわざ我が家に外壁の色を調査しにきた。ほんと迷惑なことに周りの住宅は我が家のペイントを真似た仕様で、それなりの一体感は生まれたが、我が家はそれに馴染んでしまいなんか安っぽくなってしまった。
それだけではない。私が望んだわけではないのに、区画整理とやらの影響で新しい住所ができ、我が家もめでたく地番が変更された。望んだわけじゃないのにだよ?
そのおかげでイロイロめんどくさい用事が増えてしまった。自動的に変更されるモノを除き、それ以外は自分で住所変更を行わなければならなかった。
免許証、マイナンバー通知カード、病院、郵便局、銀行、amazon、楽天などなど。
だから行政はキライだ。お前らが全部やるのが筋だろ?
新しい住民票みたいな証明書は無料だったけれど、それを持って警察署に行く手間とかありえない。
ここで政治家などの権力者でもない一般人の私がボヤいても仕方がないので、スゴスゴと住所変更のためマイナンバー通知カードと免許証を持って市役所と警察署へ出かけていった。
行政はいかなるときでも、土日は受け付けてくれません。
葬祭時を除く。
なんで?私が望んだわけじゃないでしょう。
平日休んで行ったよ。バカバカしい。
最初に市役所。
マイナンバー通知カードの裏には、手書きの乱暴な字で新しい住所が書かれ公印が押された。
うわっ。きったねー字。アタマおかしいんじゃねえの?マトモなヤツに書かせろよ。
マイナンバーカードを発行するまでコレですか?証明書としてどうなの?こんなん人に見せるのいらんわ。
なんかテンション下がり気味で警察署へ行く。
受け付けしたのは、男勝りの汚い字を書きそうなブス婦人警官。
ブスな婦人警官は1ミリも笑わず、私を相手にすることもなく黙々と作業を続ける。
ブス「◯◯さーん。」
彼女が裏書きされた免許証を私に見せ、
ブス「はい、新しい住所です。◯◯の◯番地です。ご苦労さまでした。」
お前が書いただろ。
そこにはブスが書きそうな見事な男勝りの汚い字が並んでいた。
公的証明書……
まあ免許証の数々の汚点は次回更新時にキレイさっぱりなくなるし。
自分を励ましつつ警察署を後にした。
もし数年間残る公的証明書で、住所変更をおこなうときは相手が誰であろうと聞いたほうがいい。
お前字キレイだろうな?
ユーキャンか日ペンの美子ちゃんで学習してきたんだろうな?
私の字はいい。けれどお前の字が汚いのは許せないのだ。
だってそれは私が望んだわけじゃないもん。